近年、「結婚=入籍」という考え方に捉われず、事実婚という選択をするカップルが増えてきています。
自由で柔軟なライフスタイルが魅力とされる一方で、「事実婚はずるいのでは?」「後悔することもあるの?」といった疑問や不安を抱く人も多いのではないでしょうか。
この記事では、事実婚のメリットとデメリットを中心に、「同棲との違い」「税金や子どもへの影響」「よくある誤解」などについても詳しく解説していきます。
実際に事実婚を検討している方や、パートナーと将来を話し合いたい方の参考になれば幸いです。
事実婚のメリットとデメリット
事実婚には「自由で縛られない関係」といったポジティブなイメージがありますが、実際にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
特に「税金」や「子ども」に関する問題は、将来的な生活に大きく影響する部分ですので、事前にしっかりと理解しておくことで、後悔のない選択が出来る様になるでしょう。
事実婚のメリット
1. 姓を変えずに結婚生活ができる
日本では法律婚をする際、多くのケースでどちらかの姓に統一する必要があります。
特に女性側が改姓することが一般的とされ、仕事の名刺やメールアドレスの変更、クレジットカードや銀行口座の名義変更など、非常に多くの手続きを伴います。
一方、事実婚であれば戸籍が別のままになるため、姓の変更が不要で、旧姓のまま社会生活を続けることができるので、キャリアを積んできた女性や専門職の方にとっては大きなメリットです。
また、子どもが生まれた場合には、家庭裁判所の手続きを通じて父母どちらかの姓を選ぶことも可能になります。
「結婚はしたいけど、名字を変えたくない」というカップルには、事実婚が一つの現実的な選択肢になるでしょう。
2. 精神的な自由度が高い
事実婚は形式に縛られず、二人の意思を重視したパートナーシップを築ける点が魅力です。
婚姻制度では法的な義務や責任が明確に定められていますが、事実婚ではそれらを自分たちのルールで調整できる自由があります。
例えば、
- 姓の問題
- 生活費の分担
- 仕事との両立
など、法的な枠組みに捉われず、よりフラットで対等な関係を築き易いとも言えます。
形式的な結婚に疑問を持つ人や、多様な家族のあり方を望む人にとって、事実婚は精神的にも柔軟な選択です。
3. 事実婚でも社会保険の扶養に入れるケースがある
「内縁関係」であっても、会社や健康保険組合によっては社会保険の扶養に入れることがあります。
実際に厚生労働省も「事実婚であっても、実態があれば配偶者としての取扱いができる」としており、条件を満たせば、健康保険証の発行や扶養控除の対象になることもあります。
但し、これは組合によって異なるため、加入している保険組合に事前に確認しておくことが重要です。
認められれば、医療費の負担が軽減されたり、福利厚生の対象になったりと、法律婚に近い恩恵を受けられます。
4. 万が一別れるときの手続きが比較的スムーズ
事実婚は戸籍上の婚姻関係がないため、離婚届や調停・裁判などの法的手続きを必要とせず、別れる際に必要なのは、基本的に話し合いだけですので、関係の終わりに伴う精神的・金銭的な負担も比較的軽くて済みます。
但し、長年にわたって共有財産を築いてきた場合などは、財産分与や慰謝料の問題も発生する可能性があるため、事前に契約書を作成しておくと安心です。
事実婚のデメリット
1. 税制面での優遇が受けられないことが多い
事実婚では、法律婚のように税制上の優遇(配偶者控除・配偶者特別控除など)を受けることが出来ないケースが多くなります。
特に高収入の片方が、専業またはパートナーの扶養に入っている場合、所得税や住民税の控除が使えないため、家計への影響は無視できません。
また、相続においても、事実婚では相手に財産を遺す法的権利がないため、相続税が高くなったり、そもそも遺産を受け取れなかったりするリスクがあります。
これを防ぐには、生前に遺言書を作成するなどの対策が必要になります。
2. 子どもに関する法的リスク
事実婚で子どもが生まれた場合、母親との法的親子関係は自動的に成立しますが、父親との関係は「認知」という手続きが必要で、認知がなければ、子どもは父親の戸籍に入ることができず、相続権も発生しません。
また、認知があっても親権を得るには別途手続きが必要となるため、両親が協力していないと、子どもが不利益を被る可能性があるのです。
特に別れる場合や、父親が育児に非協力的な場合は、子どもへの影響が大きくなるため、慎重に考える必要があります。
3. 周囲からの理解が得られにくい場合も
現代では多様な家族の形が受け入れられつつありますが、それでもまだまだ「籍を入れてこそ結婚」という価値観が根強く残っています。
特に親や親戚、職場などの年配層や保守的なコミュニティでは、事実婚に対する偏見も少なくありません。
例えば、結婚式や親戚の集まりで「どうして籍を入れないの?」「それって責任逃れじゃない?」といった声を掛けられることもあるかもしれませんので、精神的にしっかりとパートナーシップを築けていないと、こうした外圧に疲れてしまう可能性もあります。
また、将来的に子どもが学校などで家族構成を説明する場面でも、周囲との違いに戸惑うかもしれません。
事実婚と同棲の法的な違い
事実婚と同棲、どちらも「結婚はしていないけど一緒に生活している関係」という点では似ていますが、実際には法律的にも社会的にも大きな違いがあります。
なんとなく同棲を続けているカップルの中には、「うちって事実婚なのかな?」と疑問を抱く方もいるかもしれません。
ここでは、その違いについて明確に整理してみましょう。
事実婚は法律で保護される関係
事実婚とは、婚姻届を提出していないものの、お互いに結婚の意思を持って共同生活を送っている状態を指しますので、法律上は「内縁関係」として認められ、いくつかの権利や義務も発生します。
例えば、
- 社会保険の扶養
- 生命保険の受取人
- 財産分与
- 慰謝料請求
など、一定の範囲で法的な保護を受けることが可能です。
これに対して、同棲は「単なる同居」であり、法的にはほとんど保護されません。
同棲との大きな違いは「結婚の意思」
事実婚が認められるためには、第三者から見ても「夫婦として生活している」と分かる実態が必要です。
具体的には、
- 生活費を共有している
- 親族・友人に夫婦として紹介している
- 同一世帯として住民票に記載されている
といったことが要件となります。
一方で、同棲は恋人として一緒に住んでいる状態であり、別れればそれで関係が解消されますので、法的拘束力もなく、扶養や相続といった問題でも不利になりがちです。
事実婚は「ずるい」「後悔する」と言われる理由
「事実婚って責任逃れじゃないの?」「結局、相手が本気じゃないのでは?」そんな風に思われてしまうこともあり、SNSや口コミでは、事実婚に対する偏見や誤解も少なくありません。
この章では、「ずるい」「後悔した」という声の背景を探ってみます。
「ずるい」と言われるのはなぜ?
事実婚に否定的な意見として多いのが、「籍を入れずに都合のいい関係を続けているだけ」という指摘です。
特に、責任を取りたくない男性が事実婚を選んでいる様に見える場合、周囲からは「ずるい」と受け止められてしまう傾向があります。
しかし、実際にはお互いに信頼関係を築いているカップルも多く、選択の自由を尊重すべきですので、形式に捉われず、自分たちの関係に誇りを持っていれば、周囲の声に振り回される必要はありません。
「後悔した」と感じるのはこんな時
事実婚を選んだ人の中には、「もっと早く法的な結婚をしておけばよかった」と感じる方もいて、その理由として多いのが、以下のようなケースです。
- 病院での付き添いや手術同意が認められなかった
- 相続トラブルが発生した
- 子どもに関する手続きで手間がかかった
こうした問題は、事実婚であることを周囲が理解していない場合や、制度上の不備によって起きやすいですので、後悔しないためにも、必要に応じて公正証書や契約書などを作成しておくのがおすすめです。
事実婚のメリットとデメリットのまとめ
✔️事実婚は「自由」と「責任」がセット
事実婚は「自由で柔軟な関係性」が魅力ですが、それと同時に法的リスクや社会的誤解とも向き合わなければならない選択です。
同棲とは異なり、事実婚には法的な意味合いもあるため、パートナーとしっかり話し合っておくことが大切になります。
税金や子どものこと、将来的な相続や医療に関する手続きなど、注意点を押さえておけば、「後悔しない事実婚」を築くことも十分に可能です。
大切なのは、「結婚すること」ではなく、「どんな関係を築いていくか」ですので、あなたらしい幸せの形を見つけるために、事実婚という選択肢について今一度考えてみて下さい。